乗馬をやってみたいと思っているうちにすっかり体重が増えてしまい、馬に申し訳なくて断念しました。どうも、ノブです。
この記事では、騎手による技術の差や、得意な戦法などについて書いてみました。
騎手の”技術の差”とは
鞍上。これも当然にレースを予想する上で欠かせない大きな要素の一つですよね。
ということで、ここでは騎手について書いてみようと思います。
騎手によって得意な戦法はあるのか
ダビスタなど競馬ゲームの経験があるならばご存じかと思いますが、ゲームなどではよく騎手によって『得意な戦法』が設定されていたりします。
逃げを得意とする騎手、先行抜け出しを得意とする騎手、中団からの差しを得意とする騎手、後方からの追い込みを得意とする騎手、あるいはどこからでもOKの自在騎手。だいたいこの5つのタイプに分かれています。
もちろん、あくまでもゲーム上の設定なのですが、現実の競馬でもこのように騎手によって得意な戦法みたいなものがあるのであれば、それも予想に活かせそうですが…実際のところはどうなのでしょうか。
逃げの中舘
ちょっと古いファンならば間違いなく知っていると思いますが、「逃げの中舘」という言葉を聞いたことがありませんか?
中舘英二現調教師が現役騎手の頃に呼ばれていた愛称で、彼が逃げを得意としていたということから、そう呼ばれていました。
ちなみにこれは、彼が現役時代に主戦を務めていたツインターボという馬の存在が大きかったと思われます。
【参考レース:1993年 オールカマー(GⅡ)の映像がコチラ】
たしかに中舘元騎手は時として思い切った騎乗をする騎手で、逃げた時のペース配分は絶妙でした。
ただ、彼が逃げたら必ず勝てるかと言えば、もちろんそんなことはありません。
それまで差す競馬で圧倒的な強さを誇ってきた女傑ヒシアマゾンで、突然逃げの手に出て失敗する、なんてこともありました。(引っかかっていたのかもしれませんが…ちなみに1番人気で5着敗退)
ですので、彼は逃げた時のインパクトは大きかったかもしれませんが、飛びぬけて他の騎手より逃げが上手かったのか、と訊かれれば何とも言えません。
なぜなら、基本的にほぼすべての騎手が、差し追い込みなど他の戦法に比べ、逃げた時の勝率や複勝率などが最も高いからです。
みんな得意な戦法は同じ
とりあえず引退した騎手についての話はここまでにしておきますが、上にも書いた通り基本的にどんな騎手でも、差し追い込み脚質の馬に乗った時よりも逃げ先行でレースをした場合のほうが勝率や連対率、複勝率が断然高い傾向にあります。
なぜだと思います?
と言っても、もちろん馬の能力がある程度備わっているのが前提なのですが、あえて馬の能力を度外視して考えた場合、先行抜け出しが最も4コーナーを回るのが簡単です。
どういうことかと言うと、基本的に先行抜け出しの場合、4コーナーで考えることは一つ。
逃げ馬をどのタイミングで捕らえて先頭に立つか
だけです。あとは押し切れるかどうかだけ。
前に壁ができるリスクもほぼありませんし、実にシンプルですよね。
また、前に馬がいない分、自らペース配分を考える必要があったり、同型馬との兼ね合いもありますが、揉まれるリスクがないという点で逃げ馬もほぼ同様と言えるかもしれません。
さらに、他の馬に影響されることなく馬場状態の良い所を選んで走れるのも大きなメリットです。
では、差し、追込み馬はどうなのか。
・ペースを読んでの仕掛けどころ
・周りの馬との駆け引き
・4コーナーでのコース取りetc…
このような様々なことを考えながら騎乗し、また瞬時に判断しなければなりません。
これだけ見ても、先行馬の方が乗る方としてはレースがしやすいということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
実際に、例えば2022年関東リーディングトップの戸崎圭太騎手の直近1年のデータはこんな感じ。
- | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
逃げ | 28% | 58% | 69% |
先行 | 22% | 41% | 50% |
差し | 13% | 23% | 33% |
追込み | 11% | 19% | 32% |
このように、逃げ先行馬よりも、差し追い込み馬に乗った時のほうが明らかに馬券に絡む率が低いんです。
もちろんこれは戸崎騎手に限った話でなく、程度の差はあれどんな騎手でも同様です。
要するに、馬の気性や能力は別にして、先行しての競馬ならすべての騎手が問題なくこなせるということになります。そこに騎手としての能力差はほとんどないと言っていいでしょう(あっても筋力や体力の差)。
だから馬の能力さえ高ければ、新人の女性騎手であろうが普通に重賞を勝てるのです。
騎手の能力はどこで決まるのか
では、騎手の能力はどこで差が出るのか。もちろん筋力や体力も重要ですが、一番差が出るのは
差し、追込み馬に乗ったときの能力
ではないでしょうか。
具体的には、その能力がないと周りの馬との駆け引きができず行きたいポジションに先に入られたり、外に出すタイミングを外して蓋をされたり、4コーナーで行き場を失って前が詰まったり…ということが多くなってきます。つまり、差し、追込み馬に乗るときには
・周りの馬の動きと流れを先読みする能力
・馬の実力とペースを踏まえた仕掛けどころの判断能力
・4コーナーで前が空きそうなスペースを瞬時に判断できる能力など
が求められるわけです。センスと言ってもいいでしょう。ここが騎手によって大きく差が出るところです。
上手い騎手は誰?
では、差し追い込み馬に乗った時に上手い騎手は誰なのか?
それをハッキリさせるため、僕は騎手の脚質ごとのデータからそれぞれの『差し追い込み能力』を数値化しています。
簡単に言えば、逃げ・先行馬に乗った時の成績と、差し・追い込み馬に乗った時の成績の差を比較して数値化したものなのですが、このポイントが高いほど先行と差しの成績差が少なく、差し・追い込み馬に乗った時にも安定して結果が出せているということになります。
なお、トップ10は以下の通り。
最も高いのは川田将雅。さすがトップジョッキー、やはり若い頃の海外修業はダテではなかったという事でしょうか。
それと、さすがの大ベテラン横山典弘は数値が高いですね。この二人が頭一つ抜けていますね。
また、最近はパンサラッサのイメージが強い吉田豊ですが、意外に差し追い込みの競馬も安定しています。
順位 | 騎手名 | ポイント |
---|---|---|
1 | 川田 将雅 | 92 |
2 | 横山 典弘 | 91 |
3 | 吉田 豊 | 82 |
4 | 岩田 望来 | 80 |
5 | 菅原 明良 | 78 |
6 | 鮫島 克駿 | 76 |
6 | 田辺 裕信 | 74 |
6 | 菱田 裕二 | 74 |
9 | 秋山 真一郎 | 74 |
10 | 岩田 康誠 | 73 |
続いて、岩田望来や菅原明良、鮫島克駿ら20代の若手が上位に来ています。つまり、彼らも差し追い込み馬でもしっかり結果を出せているということ。
ここにきてメキメキと実力をつけてきているということでしょう。今後もますます活躍しそうですね。
なお、逃げ先行も差しもどちらも成績が悪いと、それもまた『差』が生まれにくく、信頼に足る数値が確保できないことから、2022年に平場で15勝以上挙げている騎手を対象としています。
ちなみにランキングはこの後、M.デムーロ、C.ルメール、坂井瑠星らが上位に続きます。
こう見ると、近年大活躍の横山和生、武史兄弟は正直まだ差しは信頼できるとは言えないようです。また先述の戸崎圭太や松山弘平なども、人気馬に乗る機会が多いということもあるのですが、人気の差し馬に乗って不発で終わるパターンが実は意外に多いのです。
本命馬が直線で差し届かないのを見て
戸崎ぃ!ワレ何しとんじゃぁ~!!
などと叫んだ経験があなたにもありませんか?
このように、とくに差し追い込み馬から馬券を買う時は、騎手の能力は無視できない要素となるので、騎手ごとの能力値をしっかり把握しておく必要があるということです。
なお、上記のデータは2022年ほぼ1年間のデータを参考に算出しています。お手馬の脚質にもよるので、データの取得期間によって多少の順位の変動はあるかもしれませんが、それほど大きなズレはないかと思います。
コースの得意不得意
また、騎手によって得意とするコースもあるようです。
当然と言えば当然なのですが、やはり乗り慣れているコースのほうが得意なのは間違いないでしょう。ただ、リーディング上位の一部の騎手を除けば、関東の騎手が関西圏へ、あるいは関西の騎手が関東圏への遠征については、それほど多くありません。
ですから、
関東所属の騎手は関東が得意、関西所属の騎手は関西が得意
というのは言えると思います。
一般的な騎手は、自分のお手馬が重賞に出走するなどの理由が無ければ頻繁に遠征することは基本的にありませんが、お手馬が多く、比較的遠征も頻回なリーディング上位の騎手を参考にすると、その傾向が浮かび上がります。
実際、栗東所属ながらよく関東へ遠征する川田将雅を見ると、やはり関西圏の競馬場に比べて中山や東京での信頼度は多少下がる傾向にあります。
また、同様に関東リーディングの戸崎圭太も、川田ほど遠征は多くないものの、東京や中山に比べると、関西圏でのレースはやや信頼度が下がる傾向にあるのがわかります。
川田将雅
※京都競馬場改修のため中京を関西圏として掲載
競馬場 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
東京 | 9-17-11-15-7-19 | 11.5% | 33.3% | 47.4% |
中山 | 7-1-3-4-2-12 | 24.1% | 27.5% | 37.9% |
阪神 | 48-40-37-12-13-49 | 24.1% | 44.2% | 62.8% |
中京 | 44-23-17-20-10-33 | 29.9% | 45.5% | 57.1% |
戸崎圭太
※京都競馬場改修のため中京を関西圏として掲載
競馬場 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
東京 | 61-46-36-27-31-147 | 17.5% | 30.7% | 41.0% |
中山 | 38-38-29-26-26-130 | 13.2% | 26.4% | 36.5% |
阪神 | 2-3-2-1-0-13 | 9.5% | 23.8% | 33.3% |
中京 | 0-1-0-0-1-2 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
こういった傾向も頭に入れながら予想をすることで、さらに予想の精度を上げることができるでしょう。
まとめ
レースにおいては馬の能力だけではなく、騎乗する騎手の能力も結果に大きく作用することは言うまでもありません。僕の馬券理論ではそれらもしっかりと踏まえて予想ができるよう必要なデータを活用できるようにしています。
もし興味があれば、ぜひ下記の記事もご覧ください。僕の馬券理論について、もう少し詳しく書かせていただいています。
もし、あなたが今、
回収率70%くらいしかねぇよ…馬券買うたびにどんどんマイナスが膨らんでいってるし、そろそろデカイの当てないとなぁ。なんか競馬で儲かるいい方法はないものか
と思っているならば、きっとお役に立てるでしょう。
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